【仮面ライダービルド】最終回の違和感
ついに、仮面ライダービルドが最終回となりました。
一年間、毎週楽しみに観させていただきました。スタッフやキャストのみなさん、おつかれさまでした。
本作では、人々を幸せにも不幸にもする科学の二面性、そんな技術を生み出す科学者のあり方といったことを戦争を通して描くという、どちらかといえばひと昔前の平成ライダーのような重いテーマを扱っており、非常に見ごたえのある内容でした。
そんなビルドの最終回。少々違和感を感じました。
お話としては、
〇主人公のいる世界(以下A世界)と平行世界(B世界)を融合させることで、エボルトのいない新しい世界(C世界)を創る。
〇C世界は、エボルトもスカイウォールも存在せず、A世界での「スカイウォールの惨劇」以降の10年とは全く異なる、平和な10年ののちの世界であった。
〇A世界とB世界の融合の外にいた戦兎は、A世界での記憶を持ったままC世界に降り立つが、そこに存在する万丈たちもC世界で生きていた存在のため、戦兎がA世界でともに過ごした人物とはまったくの別人で、もちろん戦兎のことも知らない。
〇一人になってしまった戦兎のもとに、戦兎と同じく世界の融合の外にいたA世界の万丈が現れ、二人はお互いの知る仲間の存在に歓喜。
〇二人は、自分たちのA世界での戦いを49個のデータにまとめるため、ボイスレコーダーに語り始める。(このデータがこれまでの各話冒頭のあらすじ紹介となる)
と、明るい雰囲気でハッピーエンド、という感じでした。
これまで自分だけ記憶のなかった戦兎が、逆に自分だけ記憶を持つ状態になり、すべての人から忘れられる(というより存在していなかったことになる)という、いつまでたっても常に疎外される側の悲劇のヒーロー感満載の展開に涙しました。
が、そこに現れた最高の相棒である万丈。お前がいれば大丈夫だという戦兎の万丈に対する絶大なる信頼、二人の友情に改めて涙しました。
最後に二人がいつものように和気あいあいとボイスレコーダーに語り始めるシーンはとても心温まりました。
ですが、このハッピーエンド感に違和感を感じました。
「世界の融合という解決策は、本当にハッピーエンドといえるのか」ということ。
新世界となり、A世界で死んだ人々もよみがえり、エボルトやスカイウォールによってもたらされた惨劇も起きることはない。そういう意味ではよかったのかもしれません。
しかし、それはあくまでA世界視点での解釈であり、B世界の人々からすれば、平和な世界が突然A世界の都合で壊され、別の世界に作り変えられてしまったのです。
また、C世界に万丈が二人いることからもわかるように、C世界の人々はA世界やB世界の人の生まれ変わりなどではなく、絶対的に異なる第3の存在です。つまりA世界とB世界の人々の存在は失われてしまったことになります。
それで本当に戦兎はA世界の人々を救ったといえるのでしょうか。
まあ、C世界の真実を知っているのは戦兎と万丈だけなので、二人がよければいいんですけどね。
とりあえず、仮面ライダービルド、とてもおもしろかったです。