マコトの徒然日記

日々思うことを綴ります。よく頭おかしいと言われます。

【ネタバレ注意】ドイツ戦 種ヶ島vsビスマルクに見えた『新テニ』の危険な行く末

GWが明けて、ジャンプSQ6月号が発売となりました。毎月の楽しみである『新テニ』では日本vsドイツもいよいよ佳境に入ってきました。ちょっと前に書いた種ヶ島・切原ペアの戦いもついに決着が近づいてきています。

 

今月は、種ヶ島vsビスマルクの変則シングルスとなった第2セットの終盤が描かれることとなりました。互いに手の内を隠しながら戦ってきた二人が、正念場のタイブレークに入ってついに全力でぶつかり合います。

 

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ジャンプSQ6月号 種ヶ島vsビスマルク

誰もが待ち望んだ、謎多き日本No.2種ヶ島の全力はやはり驚異的なもので、すさまじい能力を隠し持っていました。割と推しキャラである種ヶ島の活躍に心躍る反面、今月号の内容については少しひっかかる部分もありました。

 

まずは、新たに明らかとなった種ヶ島の必殺技。

 

「未生無」

こちらは先月号のラストで登場した技で、種ヶ島が放ったボールが空中で一瞬止まるというものでした。この技の登場とともに先月号は終わりでした。

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ジャンプSQ5月号 「未生無」初使用シーン

 

「不会無」

今月号で新たに登場した技で、種ヶ島自身の存在を「無」にするというもの。周囲からは種ヶ島の姿が見えなくなります。

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ジャンプSQ6月号 「不会無」初使用シーン

 

どちらも、すでに感覚が狂ってしまっているテニプリファンからすれば、わざわざツッコむほどのことではないように思います。

が、個人的にはこれは危険な前兆であるように思います。

 

 

今回の種ヶ島の技については、理論的説明が一切ありません。

テニプリに登場する技・能力については、無理矢理ながらも何らかの説明があります。

フランス戦で登場したプランス「どんなボールが来ても、どんな体勢からでもノータッチエースにできる」という能力でしたが、それは「馬上テニスによって体幹が鍛えられ、どんな体勢でもハードヒットできる」ことによるものでした。

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『新テニスの王子様』単行本25巻

 

幸村の「五感を奪う」というものでさえ、「どんな球を打っても幸村によって完璧に返球されることから対戦相手が五感を奪われたように極度のイップスに陥る」という説明がなされています。

 

 

が、今回はそれがありませんでした。しいていえば、「どうやら種ヶ島はあらゆるものを無にできるらしい」というだけです。

種ヶ島がこれまで見せ続けてきた代表技「已滅無」は、種ヶ島が「視覚から伝達された回転の情報を瞬時に手首へ伝えられる」ことによってどんな必殺ショットも無にできるというもので、あくまで「種ヶ島の手首によりなせる技」という感じでした。

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『新テニスの王子様』単行本12巻

 

しかし、今回はそれを拡大解釈して「超常現象的にあらゆるものを無にできる」というように、種ヶ島の技ではなく、もはや超能力的な能力になってしまいました。

 

最近の『新テニ』では、このような傾向が見え始めています。

一番代表的なのは越前リョーガ「相手の能力を喰う」という能力。樺地や仁王のように技を再現するのではなく、相手から奪うというものです。(奪われた相手は能力を失います)

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『新テニスの王子様』単行本32巻

 

これまでのテニプリが、「現実にはありえないけど、なんとか無理矢理に理屈をつけた、なんだかありえそうな気にさせてくれる」というスタンスで作り込まれてきており、それが大きな魅力の一つだったので、特に根拠もなく「コイツはそもそもそういう超能力を持ってるから」とだけ言われるのは残念です。

 

インフレにインフレを重ね続けているため、より強いキャラクターを作るのが難しくなっているのだとは思いますが、とはいえ超能力のように、根拠なく「強いから強い」というような見せ方はキャラの魅力、テニプリの魅力を殺してしまうように思いました。

 

 

 ダブルスペアが不在の状態でのダブルスを詳細に説明しながら描いてしまったことで、跡部・仁王vs越知・毛利のときに、「跡部が仁王戦闘不能の1vs2の状態で逆転したことはありえない」という事実を証明してしまったことは今回は置いておくことにします。なあなあにしとくべきこともありますからね。

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『新テニスの王子様』単行本9巻

 

 

 

新テニスの王子様 32 (ジャンプコミックスDIGITAL)