とある雪の日の思い出 ~メガクラッシュ事件~
私は京都に住んでいますが、年末ごろからとても寒い日が続いています。積もるほどではないですが雪も何回か降りました。故郷の岐阜では年末年始にかけて雪が積もったようです。
雪を見て、高校生のときのとある記憶がよみがえったので、書いておきます。
私の実家は岐阜県の南西側に位置する町にあります。その町は、唯一通っていた超絶ローカル鉄道路線が私が小学校低学年ぐらい(20数年前ぐらい?記憶があいまい)のころに廃線となり、それ以降公共交通機関はバスのみとなりました。
私は高校時代、二つ隣の市にある高校まで基本は自転車通学、天気が悪ければバス通学という生活でした。片道約12km、自転車の場合は約50分、バスの場合はバス停まで自転車10分バスで30分という感じでした。車が使える大人にとっては市街地も近いほどよい田舎ですが、高校生にとってはなかなか大変でした。
冬のある日の朝、前日から朝方にかけて降った雪が積もっていました。朝には雪は降り止んで晴れていたので、子どもにとっては雪遊び日和、学校に行っている間に雪が溶けてしまわないかそわそわするような日でした。
私が転ばないように気をつけながら自転車でバス停に向かう途中、小学校に登校する小学生の分団とすれ違いました。当然、小学生たちはテンションMAX、雪玉を投げ合いながら登校していました。
そんななか、ある子が抱えて持つぐらい大きくして殺傷能力を高めた玉を作り不意打ちを狙っていました。そして、チャンスと感じたのでしょう。
「くらえ!メガクラッシュ!!」
と叫びながら振りかぶりました。しかし、小学生が扱うには大きすぎたのでしょう。投げることはできず、その場で落下し、その殺人玉は地面で大破しました。
まさに「メガクラッシュ」でした。
未来が見えていたのかと思わされるぐらいの秀逸なネーミングセンス。
その子はなんとも言えない顔で地面を見つめていました。周りの子もなんと言えばいいのかわからないという感じで、雪遊びが中断されていました。
雪玉のみならず、その場の雰囲気までも「メガクラッシュ」状態でした。
1時間半に1本しかないバスを乗り過ごしたら大変なので、私はそのまま通り過ぎましたが、一部始終を見ていたのでなんとなくその場の雰囲気を共有しているように感じて、そそくさと逃げ去ったような気持ちになりました。
気づけばもう10年ほど前の出来事で、その子も20歳前後ぐらいでしょうか。あの事件にめげずにめいっぱい自由に遊んで、立派に育っていてほしいものです。