マコトの徒然日記

日々思うことを綴ります。よく頭おかしいと言われます。

新アニメ『デジモンアドベンチャー:』新TCG「デジモンカードゲーム」に見える戦略とは

4月に放送開始となる新アニメデジモンアドベンチャー:』、さらに同時期に発売され、同アニメの商品でもあるデジモンカードゲーム」

 

今回の新アニメの放送・新たなデジモンカードゲームの発売については、単純に「バンダイが既存の人気コンテンツを使った新商品を発売する」というのにとどまらない、とても大きな意味を持っているように思います。

 

 

【コンテンツとしての「デジモン」という観点から】

デジモン」といえば、1997年に携帯ゲーム機『デジタルモンスター』発売、1999年にアニメ『デジモンアドベンチャー』放送開始といったように、1990年代後半~2000年代前半に大ブレイクしたコンテンツです。それ以降も各時代で、その時代の子どもに向けたコンテンツが作られましたが、いまいち人気を得られず、誕生から約20年経った現在、デジモンは1990年代後半~2000年代前半に子どもだった世代(現在20代~30代ぐらい)から根強い人気を得ている、大人のための懐古的コンテンツとなっている印象です。(私もその熱狂的ファンですが)

 

そんななか、2020年4月、日曜朝(ニチアサ)という子ども番組のゴールデンタイム(『デジモンアドベンチャー』~『デジモンテイマーズ』という人気絶頂期もニチアサ放送でした)で、過去の『デジモンアドベンチャー』のキャラクターデザインをほぼそのまま使った番組の放送が開始されます。

 

 

これはまさしく、バンダイが「『デジモン』というコンテンツの2世代化」に乗り出したことを意味しています。

 

 

数年前にも、『妖怪ウォッチ』で功を奏した商品展開手法をほぼそのまま用いて、『デジモンユニバース アプリモンスターズ』というアニメが制作されました。見た目や世界観、物語の雰囲気などは過去のデジモン作品とは大きく異なるものでしたが、現代の子どもたちにデジモンを普及させ、デジモン世代向けの映画『デジモンアドベンチャー tri.』の展開と合わせ、デジモンの2世代化」を目指すものであったと思います。

しかし、これはそこまで人気を博すことはありませんでした。何より、これまでのデジモンとは別物で、個人的には「『妖怪ウォッチ』の二番煎じ感」が否めませんでした。

 

しかし今回、放送枠もニチアサとなり、過去の大人気シリーズのキャラクターをそのまま使った新アニメとなりました。すでに仮面ライダーなどで2世代消費のスタイルが成功しつつあるニチアサ、大人の興味を引く過去作品そのままのビジュアルといったように、本格的に親子2世代での視聴・消費を狙ったものとなっています。

アニメと同時に展開されるカードゲーム(その他グッズも多く展開されると思います)も同様です。

 

今回の戦略がうまくいけば、「デジモン」というコンテンツも、バンダイが誇る戦隊シリーズ仮面ライダーシリーズ、ガンダムシリーズドラゴンボールシリーズのような、幅広い世代から安定して人気を得られる大物コンテンツに進化するでしょう。

 

しかし、今現在のデジモンは、「古き良きあの頃のデジモンに強いこだわり、思い入れを持つ大人がファン層の大部分を占めるといった形態で成り立っているため、うまくやらなければ、子ども層は取り込めても、大人からは大バッシングを受けることになりかねません。

正直、デジモンファン歴20年超の私としては、「いい加減なことをしてくれるなよ」という気持ちでいっぱいです。

 

 

バンダイが開発するTCGとしての「デジモン」という観点から】

さて、次はカードゲームについて。

過去、デジモン人気絶頂期にも、デジモンカードゲームは長く商品展開がなされていました。

が、時代は1990代末~2000年代前半。

MTG、遊戯王コナミ版)がTCGの時代を切り開き始めたのと同時期に作られていたのがデジモンカードゲームです。つまり、本格TCGをまだ作っていない、当時のTCG業界では比較的弱者であったバンダイが、業界的にもまだ成功例・ノウハウが少ない、世間的にも市場の発達が不十分なTCG黎明期に、販促グッズの一つとして作った(と思われる)のが当時のデジモンカードゲームです。

 

あくまでデジモンというコンテンツに付随する販促グッズであり、対戦型カードゲームというよりはコレクションという側面が強かったように思います。コレクションというのもTCGの一つの遊び方・魅力ではありますが、ゲーム性がなければ一定以上の人気を得ることはできません。

 

それから時は流れ、バンダイも時代の流れのなかで数々の試行の果てに、バトルスピリッツという本格TCGを開発し、現代のカードゲーム業界においても、遊戯王コナミデュエルマスターズタカラトミーには及ばないまでも、ある程度のシェアを誇るまでになっています。

また、バトスピでは、一つのTCGとして基盤を確立し成熟したところで、仮面ライダーガンダムとのコラボといったように、自社の持つ人気コンテンツをうまく活用して、さらなる進化・新規層の拡大を図っています。自社開発の洗練されたTCGと、多くの世代から人気を集める多数の既存コンテンツというバンダイの強みを活かした、バンダイならではの戦略だと思います。

 

ちなみに、デジモンもバトスピとのコラボが何度もなされています。

正直、個人的には、ガンダムデジモンといったように、過去にそれぞれ独自のTCG(ガンダムウォーデジモンカードゲーム)を持っていたコンテンツをバトスピに参入させていくのを見て、今後は、バンダイのTCGとしてはバトスピに集約・一元化していくのだと思っていました。いずれはドラゴンボールなんかもバトスピに参入するとか。そうすることで、バンダイの持つ様々な人気コンテンツのファンが一つのTCGを共有することができるので、そうやって市場を拡大していくのだと思っていました。

 

でも、そうではなく、今回デジモン独自のTCGが新たに作られました。これは、既存のバトスピという限られた枠組みの中でデジモンを活用するのではなく、デジモンのための新たな枠組みを作り、デジモン独自の市場を拡大することを目指しているのだと思います。仮面ライダードラゴンボールガンダムなどの巨大コンテンツに並べるだけのポテンシャルを、デジモンに感じているということかもしれません。

 

いずれにしても、今回のデジモンカードについては、バンダイがこれまで培ったTCGのノウハウを駆使し、デジモンを他コンテンツに並ぶ多世代共有型コンテンツに進化させるための一大事業です。

 

 

デジモン」というネームバリューに頼らない、一つのカードゲームとして評価される、そんな質の高いカードゲームであることを期待します。

 

 

 

 

 

とりあえず、長年のデジモンファンとしては、「期待もあるけど不安もかなり大きい」というのが本音です。

スターウォーズみたいに、現代での利益を求めて過去作のネームバリューに頼った結果、大失敗して過去作の足を引っ張るみたいなことにはならないように願っています。